主婦の採用は勤務時間など制約はあるものの、高いコミュニケーション力をはじめ他の人材層とは違ったメリットが多くあります。現場のパートとしてだけでなく、専門職やマネジメントなどコア業務の担い手として主婦採用を加速する職場も少なくありません。
この記事では、主婦採用のメリットやデメリットから、定着して活躍してもらうためのポイントについて解説します。主婦採用におすすめの媒体も紹介するので、採用活動のヒントにしてください。
(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
従業員50名以下の中小企業に特化&全国100種類以上の求人広告を取り扱う採用支援会社 (株)アルフォース・ワン 代表。地域の小さなお店から上場企業まで、日本全国で「300社・5,000件」以上の採用支援実績あり。求人・HR業界歴14年目に突入。採用定着士、外国人雇用労務士資格保有。
主婦採用のメリット
主婦(夫)採用には、学生のアルバイトや新卒採用とは違うメリットが多数あります。
定着率が高い
1つ目のメリットは、定着率が高いことです。主婦(夫)は学生のアルバイトに比べて、長く勤務してもらえる傾向があります。
学生アルバイトは学校の卒業、就職を機にアルバイトを辞めるケースがほとんどです。しかし主婦(夫)には、卒業という節目がありません。
また自宅近くで働く人が多く通勤の負担が少ないということも、高い定着率の理由として挙げられます。引っ越しもほとんどないので、勤務を継続しやすいでしょう。
教育コストが抑えられる
2つ目のメリットは教育コストの削減です。主婦(夫)は会社勤めの経験がある人も多いため、短期間で実務に入りやすく、接客対応も早い段階から任せやすいでしょう。
学生のアルバイトの場合は、働くことが初めてという人も少なくありません。敬語に不慣れということもあり、特に接客業では電話対応やお客様対応を一から教育する必要があります。
しかし主婦(夫)はビジネスマナーをすでに身に付けていることが多く、基礎的な教育を省くことが可能です。
コミュニケーション能力が高い
3つ目のメリットは、主婦(夫)ならではのコミュニケーション能力の高さです。
主婦(夫)の方は配偶者の家族や学校、病院などさまざまなシチュエーションで異なる人と協力したり話し合ったりする機会が多くあります。考え方や年代が違う人も多く、学校やビジネスシーンとは異なる配慮が必要です。
接客業やコールセンターなど消費者と直接やりとりする業務では、これらの経験が生かされるでしょう。
業務効率の改善が期待できる
4つ目のメリットは、業務効率の改善です。
主婦(夫)の方は普段、限られた時間でさまざまな種類の家事に対応しています。そのため効率的な時間配分やマルチタスクに慣れている人が多く、業務においても効率的な動きが期待できるでしょう。
また職場に慣れてくれば、業務フローの改善など職場やチーム全体の業務について意見を聞けるかもしれません。適切な業務改善は、メンバーの負担軽減にもつながるでしょう。
採用チャンスが多い
5つ目のメリットは、採用チャンスが多いことです。一般企業の正社員よりも時間の融通が効きやすいアルバイトやパートを選ぶ人も多くいます。
実際、「令和4年 働く女性の実情」によると、配偶者がいる女性の労働力率はすべての年代で10年前と比べて上昇しています。少子化で若い人は減少していますが、共働きの進行で主婦(夫)の母数は今後も増えていくでしょう。
参照:令和4年 働く女性の実情(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/22.html)
また主婦(夫)は自宅近くで仕事を探す人が多いので、都心部以外でも採用しやすいというメリットもあります。
主婦採用のデメリット
主婦(夫)採用にはメリットだけでなくデメリットもあります。
働ける時間に制限がある
主婦(夫)の方は家庭があるため、働ける時間は基本的に平日の昼間が中心です。土日や夜間、早朝はシフトに入れないことが多いので、サービス業や24時間体制の職場では主婦(夫)ではない層も積極的な採用が必要です。
急な欠勤が発生しやすい
主婦(夫)の方は家族の事情で急な欠勤が発生しやすい点もデメリットです。家庭の事情は本人にも予測がつきにくいため、シフト調整が難しくなります。特に幼い子どもは体調を崩しやすく、幼稚園・保育園からの呼び出しなどで早退も起こりやすいでしょう。
また親世代の介護をされている方も少なくありません。デイサービスなどの介護施設を利用されていても、急なトラブルなどで欠勤や早退が想定されます。
主婦パート・アルバイト定着のための注意点
主婦(夫)の方に定着してもらうためには、上記のデメリットを踏まえた職場環境の整備が必要です。これらの注意点は、主婦(夫)以外のスタッフにも有益な効果が期待できます。
人によって働き方の差が大きいことを意識する
一口に主婦(夫)の方といっても、働ける時間や働き方の意向はそれぞれです。本人だけでなく家族の意向も大きく影響することは、主婦(夫)ならではといえるでしょう。
例えば子どもの年齢が同じでも、体調を崩しやすい子もいればほとんど風邪も引かないという子もいます。また塾通いの有無や家族の仕事の時間などによっても、働ける時間は異なるでしょう。
そのような事情を考慮せず一律の働き方を求めると、負担が大きくなり退職につながります。できる範囲で、個々人の事情に配慮したシフト調整が必要です。
急なお休みをフォローし合える体制をつくる
急な欠勤や早退に対応するため、他のスタッフを含めてフォローし合える体制をつくりましょう。人数を多めに採用しておくと、急な交代でも対応しやすくなります。
欠勤が発生するのは、小さな子どもがいる方だけとは限りません。独身の方でも、本人が体調を崩すことはあり得ます。
代わりの人が見つかれば、欠勤していない他のスタッフに負担が偏ることもありません。業務の偏りは欠勤したスタッフへの不満となりやすいので、交代が容易であることは職場の円滑な人間関係にもつながるでしょう。
またオフィスワークなどある程度のスパンで業務を行っている場合は、スケジュールに余裕を持たせておくことも対策として有効です。
情報共有の仕方やイベントの時間を工夫する
主婦(夫)の方との業務では、職場での情報共有やイベントの開催時間をいつも以上に工夫して、疎外感を抱かせないようにしましょう。
短時間勤務や急な欠勤があると、情報共有が遅れたり漏れたりしやすくなります。そのような状況が続くと業務に支障が出ることもあり、たとえ他のスタッフに悪意がなくとも、退職になるケースもあります。
例えば共有事項や業務の指示は、口頭だけではなくメールや議事録を活用するとよいでしょう。「言った・言わない」の齟齬も起きにくくなります。
また懇親会をランチタイムにすれば、時短勤務の方だけでなくお酒が苦手な方でも参加ハードルが下がります。長引くこともないので、メリハリを付けて働く雰囲気にもつながるでしょう。
ブランクを考慮して丁寧な指導をする
主婦(夫)の方は会社員経験のある人も多くいますが、出産や育児でブランクがあります。たとえ同じ業界の経験者であっても、その職場は初めてなので、いきなり任せきりにせず丁寧な指導をしましょう。
またビジネスマナー研修などは省略できますが、職場のルールや業務上の専門知識の教育を怠るとトラブルの原因になります。本人や周囲に不要なストレスを感じさせないためも、研修制度など十分な教育体制を用意するよう注意してください。
主婦採用のコストは?
主婦(夫)特化型求人サイトの運営企業が行った調査によると、主婦(夫)採用を行った企業の7割が5万円未満で採用を成功させています。1万円未満と回答した企業も3割にのぼりました。
参照:【コロナ禍・パート採用実態調査】採用担当者333名の声│企業は書類審査・面接で何を見ている?(株式会社ビースタイルメディア)(https://part.shufu-job.jp/business/details/1478/)
10万円を超える企業もありますが、これは同社では正社員求人も掲載しているためと考えられます。アルバイトやパートであれば、比較的安価での採用が可能であることがうかがえます。
コストを抑えて主婦を採用する方法
1人あたりのコストを抑えて採用するためには、主婦(夫)の採用に合わせた採用の工夫が必要です。
主婦採用が得意な媒体を利用する
もっとも採用効果が大きいのは、主婦(夫)採用が得意な媒体を利用することです。主婦(夫)の利用者が多ければ、それだけ応募が集まりやすく、早期の人員確保が可能になります。
さらに主婦(夫)に特化した媒体では、検索軸も主婦向けにカスタムされています。扶養範囲内の勤務や子ども連れ面接の可否など、主婦(夫)が仕事を探す上で気になるポイントで検索できるため、マッチ率が高い母集団の形成が可能です。
応募が増えるタイミングで募集をかける
主婦(夫)の応募が増えるタイミングで募集をかけると、採用がすぐに決まりやすく、掲載費用の削減につながります。
主婦(夫)の方の場合、以下の時期に応募が増えやすくなります。
- こどもの夏休み後(9月)
- 入園式、入学式の後(4、5月)
このタイミングで募集をかけ始めれば、求人サイトで新着として表示されるため求職者の目にも入りやすいでしょう。
扶養内の働き方ができるようにする
主婦(夫)採用ならではの工夫が、扶養内で働けるようにすることです。主婦(夫)の方では、配偶者の扶養控除の関係から、あえて働く時間を減らして収入を抑えたいという人も少なくありません。
扶養控除の基準としては103万円、130万円の年収が有名です。加えて2024年10月以降は、従業員を51人以上擁する企業で働くパート・アルバイトは、週20時間以上の勤務で社会保険へ加入することが義務付けられているため、週20時間未満での勤務を希望する人も多くなると想定されます。
研修時間や労務管理の都合を考えると、「たくさんシフトに入れる人がいい」という職場も多いでしょう。しかし主婦(夫)採用においては、扶養控除内での勤務に対応することが採用成功の近道といえます。
主婦採用におすすめの媒体
主婦(夫)採用を成功させるために、おすすめの媒体を5つ紹介します。
しゅふJOB
しゅふJOBは主婦(夫)採用に特化した求人サイトです。主婦(夫)向けのマーケティングノウハウが豊富で、登録会員数は96万人を突破しています。8割以上の登録者が正社員経験を有しているため、即戦力人材を確保しやすいでしょう。
しゅふJOBの掲載プランは、応募課金、掲載課金、採用課金の3つが用意されています。応募課金では1応募7,500円から利用可能。採用予定人数や採用課題から最適なプランを選んで掲載できます。
参照:しゅふJOB
バイトル
バイトルはパート求人に特化した求人サイトです。世代を問わず高い認知度を誇り、81%の企業が掲載開始1週間以内に応募を獲得しています。
原稿作成の代行などサポートも充実しているため、初めて求人を掲載する企業様や通常業務で採用活動の時間をとりにくい企業様でもスムーズに掲載できるでしょう。
バイトルの料金プランは掲載課金のみで、金額と掲載期間はエリアごとに設定されています。掲載期間は最低2週間からで、1週間あたり2,450円から掲載可能です。
参照:バイトル
求人ボックス
求人ボックスはインターネット上の求人情報を自動取得して、まとめて検索できるようにしたサービスです。自動収集のほか、直接原稿を作成して掲載することも可能です。
月間訪問者数は1,000万人を超え、2024年のオリコン顧客満足度調査では顧客満足度1位を獲得しました。掲載職種やエリアが幅広く、地方の募集でも応募者を集めやすいというメリットがあります。
求人ボックスは掲載費用も採用報酬も不要で、費用は一切かかりません。有料オプションはクリック課金制で、無料掲載より上位に表示されるようになります。
参照:求人ボックス
ママワークス
ママワークスは在宅ワーカーの採用に特化した求人サイトです。さまざまなスキルや経験を持つ24万人の主婦(夫)層が登録しているため、出社不要のオフィスワークではマッチする人材を迅速に確保できるでしょう。
在宅勤務は家庭との両立がしやすく、新型コロナの流行を機にニーズが高まってきました。ママワークスではオンラインチャットツールや業務委託契約書の雛形を提供しているため、在宅ワーカーとの契約が初めての企業様でもスムーズなやりとりが可能です。
掲載費用の見積もりは無料です。
参照:ママワークス
type 女の転職
type女の転職は女性の転職に特化したサイトで、登録者の99%以上が女性です。正社員、契約社員登用を目指す人も多く、より長く働く意欲のある人材の採用に向いています。
専属のライターが求人原稿を作成してくれるため、主婦(夫)の採用が初めての企業様でも効果を出しやすいでしょう。またスカウトメールの一括送信や面接日程の調整、リマインドメールなど、採用活動の負担を軽減するサポートも充実しています。
掲載費用は4週間25万円から。2職種を掲載できるので、アルバイトと正社員を同時に募集するなど、ニーズに合わせた活用が可能です。
参照:type女の転職
まとめ
主婦(夫)採用は働く時間は限られるものの、即戦力として活躍できる人材も豊富です。個々の事情に合わせて柔軟な働き方を提供することで、持っているスキルや経験を生かして長く働いてもらえるでしょう。採用のポイントを押さえて、採用を成功させましょう!
貴社の採用活動をサポート!
株式会社アルフォース・ワンは
中小企業に特化した採用支援企業です。
これまでの採用支援実績は
5,000件を超えます。
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