今回は、採用が難しい建設業の効果的な採用方法について解説していきます。
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(株)アルフォース・ワン 代表取締役
山根 謙生(やまね けんしょう)
従業員50名以下の中小企業に特化&全国100種類以上の求人広告を取り扱う採用支援会社 (株)アルフォース・ワン 代表。地域の小さなお店から上場企業まで、日本全国で「300社・5,000件」以上の採用支援実績あり。求人・HR業界歴14年目に突入。採用定着士、外国人雇用労務士資格保有。
近年、業種を問わずに人手不足が課題となっていますが、中でも建設業の採用難は突出しています。
しかし、社会インフラとして建設業に魅力を感じている人は、決して少なくありません。
この記事では、建設業に魅力を感じている人を採用するポイントや、建設業に特化した求人サービスを紹介します。
建設業の採用が難しい状況
建設業は、他の業種と比較して採用が難しい業界です。まずは、建設業の採用を取り巻く現状について整理してみましょう。
有効求人倍率は平均の5倍
建設業は慢性的な人手不足に陥っており、少子高齢化によってさらに加速しています。
厚生労働省がまとめた「一般職業紹介状況」によると、建設業の有効求人倍率は5.06倍となっており、全職種平均の1.17倍を大きく上回りました。
中でも、建設躯体工事従事者(型枠の組み立て、とび工、鉄筋組み立て等)は倍率が高く、9倍を超えています。
参考:一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39833.html)
このような人材不足は、新規採用数の減少だけでなく、離職率の高さも大きな要因の一つです。
建設業への新規入職者は、増減を繰り返しつつも右肩下がりの傾向にあり、20年前と比べると約60%減少しています。
出典:建設業(技術者制度)をとりまく現状|国土交通省(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001715124.pdf)
さらに、3年目までの離職率は大卒者が約3割、高卒者が約4~5割で横ばいとなっており「若手を採用できない」「採用しても辞めてしまう」といった状況が生まれています。
出典:建設業(技術者制度)をとりまく現状|国土交通省(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001715124.pdf)
社会的意義に魅力を感じる人は多い
人材不足が深刻化する一方で、建設業に魅力を感じている人は決して少なくありません。
大学生を対象とした調査では、建設業界への就業を志望している学生は25%に上っています。
参考:【建設業界についての学生イメージ調査】「社会貢献度が高い」40.2%など社会を支える仕事がプラスのイメージ、一方で「肉体的や時間的に負荷が大きい仕事」のマイナスイメージも|株式会社インタツアー(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000058834.html)
建設業へ魅力を感じる理由としては「歴史的に残る」「社会貢献度が高い」などの理由が挙げられています。
都市部での再開発事業や災害対策に向けたインフラ整備など、社会になくてはならないものに関わることができるのは、建設業ならではの魅力といえるでしょう。
では、なぜ魅力を感じる若手が多いにもかかわらず、採用が難しくなっているのでしょうか。
採用が難化している理由
採用が難化している理由として、労働人口の減少が挙げられます。さらに他にも、建設業特有のイメージが求職者の就業を避けさせる理由となっています。
労働人口自体が減っている
採用難の最も大きな理由は、母集団となる労働人口の減少です。人口の減少により、企業間での求職者の取り合いの激化につながっています。
国内の生産年齢人口(15~64歳)は、1995年をピークに減少傾向にあります。
出典:内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf)
少子高齢化が進んでいることから、今後も労働人口のさらなる減少は避けられないでしょう。
一方、建設投資額は毎年増加しており、建設業者数もここ数年は微増傾向です。
少ない母集団を企業が取り合うため、中小零細企業では良い待遇を用意することが難しく、採用が難しくなっています。
特に、建設業は他の業界よりも規模の小さい企業の割合が高く、従業員20人以下の企業が95%を占めます。採用に注力できる人的資源も限られており、人材の取り合いになると不利になってしまうでしょう。
参考:令和4 年度末の建設業許可業者数調査の結果|国土交通省(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00181.html)
参考:建設業(技術者制度)をとりまく現状|国土交通省(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001715124.pdf)
参考:中小企業・小規模事業者数の数|中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/2023/231213chukigyocnt.html)
労働時間が長い
建設業は出勤日数と実労働時間がともに、全業種平均よりも多くなっています。
また、週に2日の休日を取得できていない企業も全体の9割に上り、ワークライフバランスをとりやすい業界とは言い難い現状です。
ただし、働き方改革の浸透から徐々に改善傾向にあるため、企業での業務効率化や社会全体の要求により、休暇の取得や労働時間の短縮が進んでいくでしょう。
前近代的体質が残っている
建設業の「前近代的体質」というイメージも、採用を難しくしている要因の一つです。
年功序列やアナログでの作業、職人気質などの古い企業体質のイメージは、特に若い世代が建設業を避ける要因となっていると考えられます。
しかしながら、実態は必ずしも前近代的体質というわけではありません。例えば、テレワークは6割の企業で導入が進んでいる状況です。
実際の業務内容や職場の雰囲気を伝え、マイナスなイメージを払拭することが、採用成功の鍵といえるでしょう。
採用を増やすためにできること
採用を増やすためには、できることもたくさんあります。今回は、その中でも効果が高い3つを紹介します。
・労働環境を整える
・福利厚生を整える
・採用手法を広げる
それでは、詳しく見ていきましょう。
労働環境を整える
1つ目は、労働環境を整えることです。労働環境にはとても多くの要素が含まれますが、今回は労働時間と教育体制について解説していきます。
建設業への就業に消極的になってしまう理由としては、まず「長時間労働」や「休暇の取りにくさ」が挙げられます。
これらを解決し労働環境を整えることで、企業のイメージアップにつながります。
近年は「ワークライフバランス」の考え方が一般的となり、仕事よりもプライベートを重視する人も多くなってきました。
転職においても「プライベートな時間の確保ができるかどうか」という点は、重要な関心事項となっています。
参考:Job総研による『2023年 ワークライフ実態調査』を実施 理想はプライベート重視7割 実際は仕事に偏りギャップ顕著|Job総研(パーソルキャリア)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000155.000013597.html
2024年4月には、働き方改革関連法が建設業にも適用されるようになりました。採用だけでなく法規制の観点からも、労働時間の削減は必須といえるでしょう。
また、労働環境には研修などの教育体制の整備も含まれます。
建設現場は熟練作業者も多く、中には「技術を見て盗む」という意識が残っている現場もあるでしょう。
しかし、若手の人材を確保して定着してもらうには「育てる」意識を持つことが重要です。
年の近い先輩が相談に乗ったり、研修制度を設けたりするなど、技術面や精神面でのサポートを行うことで、定着率アップにつながります。
福利厚生を整える
2つ目に福利厚生です。目新しい制度を導入する必要はなく、以下のような環境や制度を整えるだけでも、充分なアピールポイントとなるでしょう。
・法定の有給休暇や産休、育休などをとりやすい環境
・食事補助
・資格取得支援 など
しかし、福利厚生の拡充にはコストがかかります。自社で福利厚生を用意するのが難しい場合は、福利厚生代行サービスの利用も検討してみましょう。自社ですべてを賄うよりも、費用を抑えて担当者の負担も減らすことができます。
また、社内の設備や制度の拡充で利用できる助成金もあります。
福利厚生に利用できる助成金の例として、次のようなものがあります。
・業務改善助成金
・両立支援等助成金
・中小企業労働環境向上助成金
これらの助成金は利用条件が緩和されることもあるため、小まめに調べて上手に活用しましょう。
採用手法を広げる
3つ目は、採用手法を広げることです。中でも効果が高い手法は、オンライン(インターネット)を活用した採用方法です。
どんなに良い労働環境や福利厚生を用意しても、求職者に魅力が伝わらなければ採用につながりません。
近年は、対面のイベントや紙媒体よりもインターネットで求人を探す人が多く、建設業も同様の傾向にあります。特に20~30代の若年層の採用を目指すなら、オンラインの活用は必須といえるでしょう。
インターネット求人は、地域や年代を問わずアプローチが可能で、採用したい人に合わせた訴求も容易です。自社に合わせたサービスを選ぶと、コストを抑えながらもミスマッチの少ない採用が可能になります。
オンラインを活用した求人方法
オンラインを活用した求人方法を3つ紹介します。
・SNSでの求人活動
・自社サイトを活用した活動
・業界特化型の求人媒体に掲載する
それぞれをメリットやデメリットを含めて解説します。
SNSでの求人活動
SNSでの求人活動とは、X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどを利用する方法です。
企業の公式アカウントを作って企業情報を発信したり、各サービスの広告枠を購入して知名度向上を図ったりすることができます。
メリット | コストがかからない
知名度向上やイメージアップになる |
デメリット | 採用につながりにくい |
SNSの利用は基本的に無料です。また、企業情報を発信することにより、普段は馴染みのない層へも会社を知ってもらえます。
採用までは時間がかかりますが、長期的なイメージアップや知名度向上を図ることができるため、長い目で見ると採用にプラスとなるでしょう。
SNSサービスによっては、利用する年齢層や志向が異なるため、欲しいターゲットに合わせたサービスを利用することが効率的な採用につながります。
自社サイトを活用した活動
採用活動に自社サイトを利用する方法もあります。今あるホームページに採用専用のページを作るだけでも、採用効果のアップが期待できます。
メリット | コストがかからない
自由度が高い |
デメリット | 制作の手間がかかる |
自社のサイトを利用するため、求人サイトに掲載するよりも自由に情報を掲載できます。求人に必要な給与の情報や業務内容だけでなく、職場の雰囲気や先輩からのメッセージなどを掲載すると良いでしょう。
SNSから採用専用ページにリンクさせたり、ウェブ広告と併用したりすることで、より効果的な採用が可能になります。
業界特化型の求人媒体に掲載する
業界特化型の求人媒体は、その業界に就職したい人や業界経験のある人が集まるため、効率的な採用が可能です。
メリット | 手軽に利用できる
応募が集まりやすい |
デメリット | コストがかかる |
求人媒体への掲載は、SNSや自社サイトの利用に比べて応募が集まりやすく、採用までの期間を短縮できるのが最大のメリットです。
入力フォーマットがある程度決まっているため、画面に従って入力するだけで必要な情報を見栄え良く整理できる点も魅力の一つでしょう。
求人媒体への掲載で採用を成功させるコツは、業界に特化した媒体に掲載をすることです。
大手総合求人サイトは利用者数が多いので、応募が簡単に集まると思ってしまいます。しかし、どんなに利用者が多くても、その業界や職種に興味がなければ母集団にもなり得ません。
業界特化媒体ならば、登録者の大部分がその業界に興味のある人材なので、アプローチもしやすく採用につながる確率もぐっと高まります。
ただし、利用料金がかかってしまうため、予算に合わせたプランやオプションを選ぶことが重要です。
建設業の採用におすすめの求人媒体
建設業の採用に特化したおすすめの求人媒体を紹介します。
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最後に
建設業の採用難は、人材不足だけでなく、建設業へのマイナスイメージも要因となっています。
一方で、社会的意義を感じる求職者も多く、実際の業務や会社を知ってもらうことで採用につなげることが可能です。
求職者への効率的なアプローチには、オンラインの活用が最も効果を期待できます。
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